NPO法人まる 工房まる
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九州大学大学院芸術工学研究院
これまでの取り組み
福岡市にある福祉事業所「工房まる」では、絵画の制作やものづくりを通して、人・もの・ことのつながりを広げてきました。2017年からは、3Dプリンタとレーザーカッターの活用を模索中。イラストを彫刻したアクセサリーチャームや木工製品などのオリジナルグッズ、制作体験プログラムのための道具などをつくりました。技術サポートや試作協力として九州大学大学院から学生やテクニカルスタッフが参画しています。
2019年度の取り組み
障害のあるメンバーを中心に、主にレーザーカッターで形づくれるものを製作。メンバーのイラストや手仕事を生かす商品の開発・販売を進め、さらに製作・加工の受注サービスを事業化することで、新たな仕事の創出をめざしました。ほかの福祉施設に「これだったらうちでもやってみたい」と思ってもらえるような活用方法の発信も検討。
課題と展望
3Dプリンタやレーザーカッターを使ってできることをだんだんと理解し、試作品も多く製作してきた一方で、実際に受注したものを製品化するとなると、機器の生産精度やメンテナンスに課題も。福祉施設のなかで企画・製作・発信に携わる人を増やすことも難しいため、デザイナーやクリエイター、販売業者とともに機器活用のアイデアから商品開発までを考えるワークショップを開催したいです。
Topics
01 メンバーのイラストを生かした商品開発と販売
工房まるのメンバーと大学院生の交流をかねて、アイデア出しのワークショップを行いました。テーマは「レーザーカッターって何? これを使って何ができる?」というざっくばらんなもの。たくさんの試作を行い、しおり、キーリングやキーホルダー、ブローチ、定規、スタンプなどを製作して、マルシェや催事、九州大学の学園祭などで販売。商品開発と販売を繰り返し実施しました。
02 メンバーの手仕事を生かす
工房まるのメンバーのなかには、身体的な特徴や体調により、道具の使用や材料の加工が難しい人もいるため、彼らができる行為(破るなど)をもとに、デジタル機材を用いて製品の開発・生産へつなげていきました。ほかにも、キーホルダー用にカットした板の残りを抜き型として陶芸に活用したり、木板・プラ板を定型にカットする道具を、ハサミ・糸鋸などからレーザーカッターへ移行したりと、工程や環境も変えつつあります。
03 製作・加工の受注サービスを事業化
レーザーカッターを使ったノベルティの受注生産や、製品加工を請け負うサービスを検討しています。案件はすでにあり、3000個のノベルティ製作を受注。当初は既存商品をつくる予定でしたが、試作品を提案したところ、オリジナル商品の受注に至りました。サービスの本格的な開始まで、生産・メンテナンス体制など、まだまだ課題も残っています。