社会福祉法人
いぶき福祉会
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情報科学芸術大学院大学 [IAMAS]
株式会社GOCCO.
これまでの取り組み
いぶき福祉会では、障害のある人の仕事の一環として、岐阜県のキャラクターのクッキー型を3Dプリンタで製作し、クッキーの量産につなげています。また、障害のある人の生活の場で、複数の利用者が関わる場面を360度カメラで記録。マイクとセンサーを活用し、その場で見逃していた利用者の細かい動きを確認することで、ケアを振り返る実験を行ってきました。このほか、さまざまなデバイスで支援の見える化にチャレンジしています。
2019年度の取り組み
障害のあるなしや国籍に関わらず、子どもたちが未来の世界を描けるようなまちづくり、仕事づくりのワークショップ「ミニフューチャーシティ」を開催。イベントのなかで、給与計算や転職、タイムカードなどの手続きをIoTシステムとして構築することで、子どもが実感をもって取り組めるような機会をつくりました。また、3Dモデリングによるマドレーヌ型の開発や、支援の現場の見える化を促すアイデアの検討も進めました。
課題と展望
システムを開発したり、アドバイスをもらったりすることが実現できているのは、同じ地域で活動するIAMASやGOCCO.など、専門性をもつ団体との連携があるからこそ。一方で、ものづくりやイベントなどにおいては、ほかの福祉施設とのつながりも大切だと感じています。実際に、ひとつのプロジェクトのなかでともに学び合うことはできても、具体的な仕組みをつくるのは難しさがある。だからこそ、今後は他団体との仕事のシェアや、地域を巻き込んだプロジェクトの実施をめざしたいと思っています。
Topics
01 ワークショップ「ミニフューチャーシティ」の実施
子どもたちが集まり、「どんなまちにしたいか」という意見交換を経て、それを実現するべくお店をオープンしました。個人認証デバイスとタブレットを使うことで、子どもたちは思い思いに活動。アナログな部分を減らすことによって、自分の得意分野や役割のなかで活動する時間がより多く取れるようになりました。この経験を生かし、障害のある子どもたちが一緒に社会のあり方を考える「福祉版ミニフューチャーシティ」も実施したいと考えています。
02 クッキー型やマドレーヌ型の開発
これまでクッキー型などの製造は、地域の産業を応援する意味も込めて原型師が担い、それによって看板商品も生まれていました。しかし、原型師の後継が途絶えた背景もあり、3Dモデリングを活用した新しい型を開発。この技術を自分たちで完結させず、ほかの団体と連携しながら、自分たちがこだわりの型をつくり、販売を促進していけるようにしていきたいと思っています。
03 支援の「見える化」
障害のある人の支援の現場を、地域住民や福祉分野の就職を希望する学生に伝えるべく、簡易VR装置を使った体験プログラムを実施。ミニフューチャーシティなどのイベントと連動することで、効果的な取り組みが期待できます。また、支援の現場での利用者・支援者の関係を記録する試みも継続中。センサー感度の向上をはかるほか、振り返り時に効率的に再生できるような方法を検討しています。