社会福祉法人
いぶき福祉会
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情報科学芸術大学院大学 [IAMAS]

2017年度の取り組み

いぶき福祉会とIAMAS が連携し、岐阜県内の福祉施設を中心に参加を呼びかけ、IoTについて学ぶワークショップを実施。「MESH」を使い、日常的に感じている不便を解決するアイデアを出し合い共有した。「見守り」や「日誌や記録」などのアイデアの一部を、施設内でも試行。また、iPhoneで簡易的に3Dスキャンを行えるアプリ「Qlone」を実験的に使ってみるなどした。

2018年度の取り組み

いぶき福祉会が本プロジェクトで取り組むのは、「手づくり・非定型・ものがたり」をわかりやすくすること。具体的には「利用者と仕事をつなぐ」「みんなが楽になる、わかる」「職員が利用者を知る」。そのなかで、3Dプリンタでクッキー型をつくるにあたり、量産に向けた型の改良と、その記録を残しました。また、360 度カメラでケアを見える化する・共有することにも取り組みました。

課題と展望

工夫次第で簡単かつ低コストで、製造工程の改良、ケアの振り返りにもつながりました。少しの道具と工夫で福祉の現場に新しい視点や手法を生み出すことができ、福祉現場を劇的に変えることができる。その工夫は、現場に近い職員が継続して取り組むことでより創造性が高まります。福祉の現場には、まだまだIoTとFabへの理解が乏しいので、まずは手軽に使い続けられる環境が大切。

Topics

01 3Dプリンタを使ってクッキー型をつくる

2017年度に引き続き、岐阜県の清流環境の保全をPRするマスコットキャラクター「清流ミナモ」のクッキーをつくるために、3Dプリンタを用いて型を制作。量産に向けた形状の改良のため、技術面のサポートでIAMAS 出身の専門家にも協力をあおぎました。クッキー型を制作する目的・理由は「特色あるものをつくる」「共同受注の可能性を探る」「息の長い商品である」こと。型の素材や仕様を検討し、クッキー生地を試作しながら、調整を重ねて取り組みました。

02 360度カメラを用いて支援を「見える化」する

「ケアにおける新たな視点を得る」「IoTへの抵抗感をなくす」「気軽に楽しく活動を振り返る」ことを目的に、新しい道具としてRICOH社製の360度カメラ「THETA」を導入・使用。音楽の時間(90 分のセッション)を撮影し、その後振り返りを行いました。視線の記録を残すことの利点とともに見えてきたのは、利用者が撮られていることに緊張したり、映像の情報量が多く検証が難しかったりという課題。カメラの使い方の工夫・改善も同時に浮かび上がりました。

03 360度カメラを使って支援の楽しみを共有する

福祉の現場では人材難の課題があります。いぶき福祉会では、現場で働く楽しさを知ってもらえるように、就職イベントにて、音楽の時間を撮影した360度カメラの映像を見てもらう機会をつくっています。カメラを導入し、映像を通して現場の雰囲気を感じ取ってもらえること、小さな集まりのなかでやりとりを行うツールとして効果的であるということを実感しました。一方で、支援の楽しみを共有できるような工夫が必要であることも課題としてあがりました。

Voice

情報科学芸術大学院大学[IAMAS] 教授

従来のIoTの定義には360度カメラは含まれないため、不思議に思う方がいるかもしれません。しかしながら、「今までつながっていなかったものごとを、インターネットのようにつないで新たな価値を創出する」という視点で見ると、この取り組みは現場と外をつなぐ出発点であることがわかります。この段階において、実際に試した上での課題が共有されることはとても重要だと考えます。

社会福祉法人いぶき福祉会 職員

福祉の世界では、支援や現場で使うツールなど、マイブームがすごく多いんです。それを映像で残していき、ブームの次になるものをつくっていくようなツールとして、360度カメラが使えないのかなと思っています。また、支援やものをつくる工程の振り返り、共有にも向いています。新しい技術を使いこなすことが、福祉の現場を劇的に変える可能性を感じました。