一般社団法人生き方のデザイン研究所
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西日本工業大学
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九州大学大学院芸術工学研究院

2017年度の取り組み

「2030 年の福祉のしごと」をテーマにしたワークショップ「Design for SDGs in Fukuoka」に、生き方のデザイン研究所の視覚障害のあるメンバーがデザインパートナーとして参加。触覚に特徴のある人形の造形が着目され、ミュージアムで視覚障害のある人も楽しめる鑑賞ツール開発や商品展開などの可能性が芽生えました。WS後は、デジタルメイカーとして障害のある人が3D モデリングにチャレンジ。

2018年度の取り組み

障害のある人の主体性や身体特性を生かした仕事づくりを目標に、2017年度の取り組みを発展させ、視覚障害のある人も楽しめる鑑賞ツールとミュージアムグッズを開発。障害のある人の身体性を拡張する自助具開発を、障害のあるデジタルメイカーとともに取り組みました。また、西日本工業大学と連携し、学生によるテクニカルサポート体制による、デジタルツール活用の促進を進めました。

課題と展望

デジタルツール活用はテクニカルスタッフの技術に依存する部分が多く、大学や遠隔地間でのサポートはタイムラグが生じ、レスポンスのよい開発状況をつくりづらい環境でした。機材トラブルシューティング情報へのアクセスや実践課題の共有など、コミュニティ形成を必要とする場面が多く、同じ機材環境における遠隔地間での協働開発を前提とした取り組みの設計が課題のひとつです。

Topics

01 個別の身体特性に寄り添った自助具開発

西日本工業大学教授である中島浩二氏の授業の中で、工業デザインや工学を専攻する学生と、生き方のデザイン研究所に所属し、施設で生活している身体障害のあるメンバーが協働し、メンバー自身が入所している施設をフィールドに生活状況を調査。日常生活において身体動作と密接に関わっているペンタブレットの使用や、食事におけるスプーン・フォークの改良についてのデザインからアプローチしました。課題抽出、改良設計、3Dプリント、生活での試用を繰り返し、改良を続けています。

02 デジタルメイカーを育成するテクニカルサポートの模索

障害のある人に限らず、3Dモデリングにおけるデータ入力の設計技術体得には、時間と労力がかかります。西日本工業大学の授業では開発や制作の時間に限りがあるため、3D モデリングをライフワークとする大学内のサークル活動「3D 部」に定期的なテクニカルサポートの協働を相談。遠隔地間で3D データを設計するのではなく、障害のあるメンバーの3D モデリング力のエンパワメントを目的とした、学生の関わりについて検討を進めています。

03 障害特性を生かしたデザインツールの創作

九州大学大学院教授である平井康之氏と協働し、科学館における鑑賞アクセスのためのツール開発を進めています。視覚に障害のあるメンバーが科学者をイメージして造形した人形の型紙を制作し、フェルト素材をカット・積層させたマスコットをデザイン化。視覚障害のある人が触れながら鑑賞するためのアクセスツール、そしてミュージアムグッズとしても販売できる商品展開を視野に入れて、改良を重ねています。

Voice

一般社団法人生き方のデザイン研究所 スタッフ

もともとこの分野に明るいわけではないので、あっという間にできあがると思ったら、そうでもない。やはり、人の存在が大切だということと、人と技術が生み出す可能性を実感することができました。

西日本工業大学デザイン学部 教授

学生にとって、まず障害のある方と接する機会自体が貴重で、さらに自分が学ぶ技術や知識がその人をしあわせにできるかもしれない機会をいただけたのは、本当にありがたかったです。本年度の取り組みを最初のきっかけとして継続、拡大していくことの重要性を感じています。