社会福祉法人大和福祉会
周南あけぼの園
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山口大学国際総合学部
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徳山工業高等専門学校

2017年度の取り組み

福祉施設にはどんな人がいて、技術者はどんな人なのか、お互いを知る勉強会からスタート。山口大学と周南あけぼの園が協働するきっかけとなりました。継続的な関係づくりを意識し、互いの業務の負担にならないように、大学は授業の一環として、福祉施設は学生を受けいれる現場として、共同でデザインワークを行い、周南あけぼの園の施設の調査と課題解決のためのプロトタイプを提案。

2018年度の取り組み

2017年度の活動において行った福祉施設のリサーチ・解決提案から、より具体的な技術の可能性を模索するため、エンジニアリングの要素が必要となりました。2018年度は、新たに専門的な知識とスキルをもつ徳山工業高等専門学校が参画。デザイン・技術を修得する学生と福祉現場がどう関わることができるのか、授業・ワークショップ・施設へのインターンを通して探りました。

課題と展望

3Dデータ化したアートの展開方法を企画すること、福祉施設に対する技術的なサポート体制を整えること。学生がサポートに入り、疑問や相談を遠隔地で共有し、問題解消のやりとりをしながら技術習得を行うなど、仕組みからつくっていく必要があります。また、進級・進学・就職や、知識や技術スキルの違いなど、学生自身の状況の変化を前提に、福祉現場と教育現場の長期的な関係を築くことも重要です。

Topics

01 時間が経つと劣化していく立体作品を製品化する

周南あけぼの園には、恐竜のようなフィギュアの作品を成形する人がいます。自宅や施設で時間があるときにつくっていますが、素材が小麦粘土なので脆く、時間が経つとカビが生えます。催事の際、配布するとすぐになくなるほど魅力があるにも関わらず、商品化には至らず、大量にあったものをやむなく処分したことも。そこで、材料を変えて作品をつくることや、作品をもとにほかのプロダクトに転用することを視野に入れ、3Dデータ化を進めました。

02 働く環境の改善:重い段ボールを運びやすくするツール

周南あけぼの園では、工業地帯という地域性もあり、機械の油や汚れなどを拭き取る布「ウエス」の加工に取り組んでいます。作業工程としては、布(織物)、綿のタオルなどを細かく仕分けて裁断・検査・梱包。衣類やタオルが施設に届くため、作業場にはダンボール箱が大量にあり、片付けようにもかなりの重量。デザインワークショップでアイデアを生み、ダンボール箱の底につけるアタッチメント「楽ダン」を作成。紐を通すと重心が下がり軽くなるよう工夫しました。

03 学生と福祉の関わり方を増やす

地域や社会で活躍する学生が、福祉とどのように関わるのがよいかを模索すべく「山口大学の授業の一環として行く」「就業体験」「地域の人とワークショップを通して解決提案」の3つを実施。たとえば、徳山高専の専攻科2年生の学生3名が就業体験をしながら、技術者の視点から働く環境の改善策を検討、アート作品をモチーフにクッキー型の試作を行うなど、大学と福祉、高専と福祉、大学と高専、それぞれのサポート体制や連携の方法も含め探っていきました。

Voice

山口大学国際総合科学部 講師

デジタルファブリケーションやデジタル化技術を介した活動を通して、技術・デザイン教育と福祉現場との関わり方の新たな可能性が見えてきました。それは単に機能的な側面だけでなく、参加者それぞれの気づきや発見による意識の変化から得られたものでもあります。一方で課題も多く見つかりました。これについてもポジティブに受け止め、改善しつつ継続したいと思います。

福祉事業所 職員

利用者と学生が一緒に施設の課題に目を向け、たくさんのアイデアを出していただきました。ちょっとした工夫やアイデアで職場の環境が良くなり、利用者の活躍の場が広がるだけではなく、人とのつながりが生まれる楽しみも実感しています。デジタル機材を使って新しい仕事をつくることは大変でしたが、利用者にも良い経験になったと思います。